シール剤塗布の自動化、卓上ロボットと専用機のどちらにするか

自動車部品メーカーで生産技術を担当している三宅です。
ECUのポッティングやケースのシール剤塗布など、液剤を扱うラインの立ち上げに18年ほど関わってきました。

手塗りのシール工程を自動化しようとすると、最初に迷うのが「卓上ロボットで足りるのか、専用機を作るべきか」です。
この記事では、私が設備を選ぶときに確かめている順番を短くまとめます。

卓上ロボットと専用機の向き不向き

現場で差が出やすい点に絞って、両者を比べました。

見るところ卓上ロボット+ディスペンサー専用機
品種の切り替えプログラムの変更で対応しやすい対象のワークに合わせて作るので、品種を増やすときは改造が要ることが多い
向いている生産量少量から中量量が多く、仕様が長く変わらない
置き場所既存の作業台に置ける専用のスペースを用意する
載せられるポンプロボットの可搬質量の範囲まで材料に合わせて選べる

卓上ロボットには、安全対策の面でも利点があります。
厚生労働省の産業用ロボットと人との協働作業に関するリーフレットによると、労働安全衛生規則で柵や囲いが求められる産業用ロボットは、定格出力が80Wを超えるものです。
導入を検討するときは、カタログでモーターの定格出力を確認しておくと安心です。

迷ったら材料の粘度から考える

表の項目より先に、私が必ず確かめるのはシール剤の粘度です。

シール剤メーカーであるスリーボンドのテクニカルニュース No.69「高粘度材料の微少量精密塗布装置の開発」には、エアー式のシリンジディスペンサーでかけられる圧力は一般的に0.5MPa程度で、高粘度のシール剤では十分に吐出できないと書かれています。
1,500Pa·sのシール剤を線径0.3mm、毎秒30mmで塗るには約3MPaが必要で、一般的なシリンジディスペンサーの10倍近い圧力だそうです。

私が扱ってきた範囲では、高い圧力をかけられるポンプほど大きく重くなる傾向がありました。
実際に、ポンプが卓上ロボットのヘッドに載りきらず、計画を組み直したことが何度かありました。

同じ資料は、ロボットが角で加速・減速すると、その前後で塗布量が変わる点にも触れています。
角の多いシールラインでは、ロボットの動きの性能もあわせて確かめておきたいところです。

高粘度の材料なら一体型の装置も候補に

ポンプとXYZの動作機構がひとつにまとまった装置を選ぶ方法もあります。

たとえば高粘度・高フィラー入り材料に対応したナカリキッドコントロールのディスペンサーは、プランジャポンプの耐圧を19.6MPaまで高め、1〜1,050,000mPa·sの材料を扱えるとしています。
仕様表の動作範囲は300×250×100mmで、本体重量は500kgです。
卓上に置ける大きさではないので、床置きのスペースを確保する前提で考えます。

同社のテストルームでは、実機でのテストも受け付けています。
申し込みフォームで材料の種類や粘度、フィラーの有無、タクトなどを聞かれるので、事前にそろえておくと話が早く進みます。

まとめ

  • 品種が多く量が少ないなら卓上ロボット、量が多く仕様が固まっているなら専用機が基本
  • 高粘度のシール剤では、ポンプの圧力と重さが原因で卓上ロボットを使えないことがある
  • 方式を決める前に、実際の材料でテスト塗布して確かめる

私の経験では、卓上ロボットか専用機かという設備の形よりも、材料を安定して出せるかどうかのほうが結果を左右しました。
まずは使っているシール剤の粘度を調べるところから始めてみてください。

最終更新日 2026年10月9日 by wissma